アタ製品について
アタ製品について
インドネシアの伝統工芸品「アタ製品」のご紹介
アタ製品は、バリ島の東部トゥガナン村の伝統工芸のひとつです。
そのトゥガナン村は、バリ島の中心部デンパサールから車で2時間くらいの距離に位置しています。
バリ島東端に位置するカランガスム県の山間に有る、とても小さな集落です。ここにはバリの先住民”バリアガ”の人々が、先祖から受け継がれてきた信念や慣習を今も守り続けながら暮らしています。
トゥガナン村で有名なのは、グリンシン(ダブルイカット)と呼ばれる織物と、Rosilyでご紹介しているアタ製品です。特にトゥガナン村で作られるアタ製品は、きめが細かく、とても美しく仕上げられています。
「アタ」という植物の特徴
アタとは、インドネシア語で “アトゥ”(草)とも呼ばれているシダ科の植物です。インドネシアに広く自生する植物で、バリ島でも見掛けることが多いです。
栽培が難しいため、自生するアタは貴重な資源となっています。取れるアタの量は決まっているのですが、近年の乱獲によって値段が高騰し、また慢性的な品不足になっています。過去にはバリ州の援助により栽培に着手したことが有ったそうですが、残念ながら失敗に終わっています。アタとは随分と気難しい植物である様子です。
根の部分は乾燥すると黒くなるので模様(モチーフ)に使われるなど、貴重なアタは余すことなく製品に使用されています。
Rosilyのアタ製品では、黒い模様には必ず根の部分を使っていますが、他所では塗料や染料を使っている事が多いです。
ラタンとの違い
アタは、ラタン(籐)と比較されやすい、また混同されやすいと思います。
アタはインドネシア、主にバリ島だけで編まれています。
ラタンは主に東南アジアに自生しており、マレーシアや中国、タイやフィリピンなどでも作られています。
ラタンよりもアタの方が細くしなりがあり、仕上がりまでに時間がかかり職人が丁寧に手作業で作ることからも、バッグや小さな雑貨類を作る事に向いています。
ラタンは太い芯材であっても、曲げに対する自由度が大きいので、太い芯材を用いた椅子やテーブルなどの家具を作る事に向いています。
-
▲アタ製品
-
▲ラタン製品
マレーシアやシンガポールの空港でもアタ製品が購入できますが、インドネシアから輸入していると思われます。現物を見るとかなり酷いクオリティで有り、アタの評判を落とさないかと心配になります。
ササクレが出来ないかと心配な方が多いですが、ラタンのササクレを想像されているのかも知れません。ラタンは漂白していることが多く、漂白によって繊維質を痛めており、ササクレとなりやすいです。
その昔は日本でも漂白されていないラタン製品が流通していましたが「真っ白な製品が好き」との声を受けて、漂白される様になったと思われます。
アタもラタンも自然界に育つ植物なので、色ムラや黒い部分が有ることが当然であり、それが製品となっても「味」に繋がると思います。日本では昭和の頃に「籐工芸」として、ラタンを編む人が多かったのですが、その漂白剤によって手荒れに悩む方も多かったそうです。
Rosilyのアタ製品に見受けられる、所々の黒い模様は植物の根っこの部分です。
これによって画一的ではない個性が生まれて、素晴らしい味を出しています。
植物を無駄なく使い切るところも、環境にも配慮した素晴らしいところです。
「アタ製品」の製法
1.棘をきれいに取り除く
収穫したアタの葉には棘があり、これをきれいに取り除き、茎の部分を乾燥させます。乾燥後に4~8等分に裂いて、細く長く加工していきます。
細く美しく裂いていくことも、長い経験と技術が必要となっています。この加工の工程が、アタ製品の美しさに大きく左右していく事となります。
2.編む
よく「機械で編んでいるのですか?」と聞かれますが、アタを編む機械は存在しません。バリ島だから機械が無いという訳ではなく、今の技術では植物を編み上げる機械は作れないのだと思います。
アタ製品は、一つ一つ手間と時間を掛けて、すべて手編みによって制作しています。確かに本当に手で編んだのかと思ってしまうほど、綺麗に編み上げています。
自然に育っている植物である「アタ」は、当然ですが曲がっている部分も有ります。曲がっている部分も使いながら、職人の技術で直線を作り、また曲線を作りだしています。同じ職人が作っても、まったく同じアタ製品が出来上がることは有りません。
曲がったアタを使って出来る限り美しい線を出しているアタ製品、それでも捻っていたり、完全な線が描けていない事も多いです。植物を使っているので、当然だと思います。しかし下手な職人が作った歪んだアタとは、その雰囲気は全く異なります。
「アタは手作りだから、一つ一つが個性です」
それは言い訳として使われていないでしょうか、そのアタ製品の本質を見極めて欲しいです。
技術の高い職人が真剣に編み上げたアタ製品だけが、その捻りや曲がっている部分まで、美しく愛おしいと思える筈です。
3.乾燥させる
アタ製品は、編み上げた後に10日間ほどの天日干しを行っています。
バリ島の高い位置から差し込む太陽の下で、1週間も天日干しされるアタ製品。
朝から夕方まで、バリ島の直射日光の元で天日干しを行うのですが、雨季であれば突然の雨も多く、雨が降る度に屋内へ避難させねばならず、大変な作業となります。
トゥガナン村では、編み上げたアタ製品が屋外で美しく並ぶ光景が見られます。日本の太陽はバリ島に比べれば優しく、どれだけ使っていただいても傷んでしまうことは無さそうです。
この天日干しによって、緑色だった部分も段々と薄い茶色に色付いてきます。
4.燻す
天日干しした後は、ココナッツの実の殻で燻していきます。ココナッツの殻とココナッツから作った砂糖を燃やして、三日三晩、燻すのです。これによって防虫や防カビの効果を発揮し、また耐久性を高めてくれます。
天然の防カビ・防虫剤であり、安心してお使いいただけると思います。しかしこの工程は大変な労力となるために、燻しの工程を行わないアタ製品も見受けられます。
しかし本来のアタ製品には、この燻しの工程が不可欠であり、本物の証なのです。
Rosilyは2005年から2018年まで、オーガニックカフェを運営していました。
手前味噌ながら、とても人気があって遠方からもお立ち寄りいただきました。そのオーガニックカフェで、業務用として使っていたのがアタ製品です。
自家製パンやモーニングを盛る器として、コースターやランチョンマットとして。長いものでは13年もの間、過酷な業務に耐えてくれました。この燻しの工程により、タフで長持ちする製品となっているのです。
燻しによる独特な香りに、きっと癒やされると思います。この香りは、本物のアタ製品だけが持っています。
バリ島から日本へ直接輸入
Rosilyでは中間業者を通さずに、バリ島から直接輸入しています。
輸入に際しては、航空貨物(エアカーゴ)を利用しています。バリ島からシンガポールやタイなどを経由して成田空港へ、そして陸路で中部国際空港に到着します。
中部国際空港にトラックで向かい、Rosily自社で通関手続きを行い、トラックに積んでRosily本店に戻ります。
輸出の際に中間業者を使ったり、また輸入時に通関手続きを専門の業者に委託すると、当然ですが高額な費用が掛かります。
また中部国際空港からの輸送を運送会社に依頼すると、やはり高額な費用が掛かります。
全てRosilyで行うことによって費用を抑えることが出来、商品価格を抑えることが出来るのです。
上の画像の通り、段ボールは3トントラックにピッタリと収まるように設計しています。
物流コストは高いので、削減できる様にあらゆる面で工夫し続けています。
本来であれば船で輸送すれば、もっと経費を安く抑えることが出来ます。しかし船で輸送すると、時にメチレンクロライド等の薬剤で燻蒸する必要が出てきます。毒物及び劇物に指定されている、とても人体に有害な薬剤であり、ナチュラルなアタ製品が台無しとなってしまいます。
航空貨物で運べば、こう言った薬剤による燻蒸は絶対に行われません。Rosilyでは船舶輸送を行わず、全て航空機で輸送しているのです。
「アタ製品」の修理・アフターサービスについて
アタバッグは、日本人が使うことを大前提として、オリジナルで制作しています。
日本の女性はバッグの中にとても多くの荷物を入れて使います。
バリ島で販売されているアタバッグは、大量の荷物を入れて使うことを想定していません。また観光客のために後からのクレームを受ける事が無い事に安心して、粗悪な商品を売っている事も多いです。
従って「バリ島で買ったら直ぐに持ち手が壊れた」との声が多いです。
持ち手はいちばん壊れやすい場所なので、Rosilyでは出来る限り強固に制作しています。また一定期間内では無償保証としており、保証が切れても有償で修理させていただきます。
他所で購入されたアタバッグについて相談を受けることも多いですが、そのアタバッグを作った職人に依頼するために、残念ながらRosilyでは修理は不可能です。ボディが良いエイジングで飴色となっているのに、持ち手が壊れて使えなくなってしまうのは、本当に残念です。長くお使いいただくアタ製品だからこそ、ぜひ長くお付き合いいだだけるRosilyをお選びいただければ嬉しいです。